第一章
流星の刃
火星と木星の間に広がる小惑星帯を、一人の侍が漂っていた。名を鋼影(こうえい)という。かつては名門の武士だったが、主君の死後に浪人となり、今は宇宙を無目的に漂うだけの存在だった。
しかし彼の刀は違った。流星刀・星断——その刃は隕石を素材として打たれており、暗黒物質に干渉する特殊な力を持っていた。宇宙の闇の存在を斬ることができる、この宇宙でただ一振りの刀だった。
ある日、鋼影は小惑星の一つに棲む民族・岩石族が、「影食い」と呼ばれる暗黒の存在に苦しめられているのを目撃した。影食いは生命体の影を食べ、その者の生命力を奪う存在だった。
これが侍の道であり、宇宙の理でもある。」
第二章
名誉なき戦い
鋼影は最初、戦いを避けようとした。自分には守るべき主君もなく、戦う理由もないと思っていたからだ。しかし岩石族の子どもが「侍さん、助けて」と言った瞬間、彼の体は自然と動いていた。
影食いとの戦いは激烈だった。相手は実体を持たない純粋な闇の存在であり、通常の武器は全く効かない。しかし流星刀・星断だけは違った。刀を振るたびに、金色の光の軌跡が宇宙空間に残り、影食いを傷つけることができた。
最後の一撃を放つ前、鋼影は奇妙な感覚を覚えた。影食いの奥底に、かつての自分と同じような孤独と痛みを感じたのだ。しかしその感傷を振り払い、渾身の一閃を繰り出した。
第三章
新たな誓い
影食いが消えた後、岩石族の長老が鋼影に感謝を述べた。「浪人殿、あなたはなぜ名誉もなく、誰の命令もなく、それでも戦ったのですか」。
鋼影は長い沈黙の後、答えた。「私は名誉のために生きることをやめた。しかし、目の前で苦しむ者を見捨てることは、侍道ではない。主君はいなくとも、剣は正しく使わなければならない」と。
その夜、小惑星帯の空に無数の流星が降った。それは鋼影の先祖たちが、かつての戦士の復活を祝う天上の花火だと言われている。鋼影は再び刀を鞘に収め、次の戦いを求めて宇宙の深淵へと旅立った。その背中には、新たな名誉の光が宿っていた。
